2022年9月6日火曜日

MinGW C++でstd::this_thread::sleep_forが使いたい

備忘録
Windowsでも動くC++プログラムが使いたくて、Mingwで開発をしていたが、 C++11規格で追加されたstd::this_threadが使えなくて困ったので対策を示す。 

結論
コンパイラとして「x86_64-mingw32-g++-posix」を使おう。 

困ったこと
コンパイラに「x86_64-mingw32-g++」を指定して次のプログラムをコンパイルできなかった。 

#include <chrono>
#include <thread>
// 中略
void foo()  {
using namespace std::chrono_literals;
  std::this_thread::sleep_for(2000ms);
  std::this_thread::sleep_for(std::chrono::seconds(2));
}

コンパイルするとエラーとなる
src/xxx.cc: 47:14: error: 'std::this_thread' has not been declared

私が使いたいのは64ビット向けMingwだが、win32とposixという2種類のバリエーションが有り、「x86_64-mingw32-g++」を指定すると「x86_64-mingw32-g++-win32」扱いとなり、「x86_64-mingw32-g++-win32」ではstd::this_threadが使えないということのようである。

2020年3月15日日曜日

楽天モバイル(MNO)の通信速度(スループット)は速かったが?

docomo, au, softbankに次ぐ第4のキャリアとして、楽天モバイルのサービスが開始されました。 楽天モバイルといえば、MVNOも運営していますが、MNOとして2019年からサービスをしています。2019年10月より無料サポーター5000人限定でスタートし2020年2月から無料サポーターを2万人に拡大、2020年4月からは最大300万人まで1年間無料としてサービスを実施予定です。 また楽天自社基地局網の構築に限界があることから、東京・大阪・名古屋の各都市は楽天自社網とした上で、不足する箇所についてはau回線を借りてサービスを行っているようです。

会員数が大幅に制限された状態でのスタートとはいえ、MNO3社にならぶ回線品質なのか気になりますよね。 私も楽天モバイル(MNO)の回線を入手し、スピードテストを実施しましたので、私の測定結果を公開してみます。
まだまだ楽天基地局が整備されているとはいえず、主力はauエリアというのが現状の実態だと思いますが、昼時の通信速度がMVNO並(以下)に遅く、月額2980円・2GBという容量を考えると、残念なところです。キャリアだと思って契約すると速度に面食らいそうだな・・・と私は思いました。
2020年から2021年にかけての基地局整備や回線増強によりどこまで改善されていくのか、期待していきたいと思います。

【結果】
1. 時系列データ
楽天エリアでは時間帯によらず高速通信ができるようです(サポーターがまだ2万人以下ですから、空いているのでしょう)。ヒストグラムを見ても40Mbps以上が多いですね。

 一方でauローミングエリアでは、12時代に速度が有意に落ち込んでいる様子がわかります。

■↑auローミングエリアでの速度の図。縦軸がスループットMbps,横軸が時間。昼12時から13時にかけて著しくダウンロード速度が落ちていることがわかります。

■↑楽天モバイルでのping値のヒストグラム。縦軸が頻度、横軸がping値(単位ms)です。楽天自営の基地局の場合も、auエリアでも同様の分布でした。

■↑楽天の基地局エリアでのスループットのヒストグラム。グラフのラベルが分かりにくくなっているが、縦軸が頻度、横軸がスループットMbpsです。概ね高速だと読み取れます、


2. ヒストグラム
(1) 楽天自社エリア:
 平均値 DL 39.9Mbps、UL 5.6Mbps、ping 54ms
(2) auエリア内(12〜13時を除く):
 平均値 DL 8.6Mbps、UL 3.4Mbps、ping 54ms
(3) auエリア内(12時代):
 平均値 DL 3.4Mbps、UL 3.3Mbps、ping 54ms
Webページが表示できないような100kbps以下となることもありました。
時刻Ping [ms]Download [Mbps]Upload [Mbps]
12:55540.682.58
12:50523.712.92
12:45581.392.96
12:40611.132.71
12:35571.422.49
12:30560.082.9
12:25550.892.9
12:20561.652.84
12:15566.333.53
12:10554.74.85
12:05599.822.72
12:00549.561.69

【測定方法】
端末: Rakuten Mini
測定時間: 平日昼に5分間隔で8時間 楽天エリア:LTE Band3で接続されるエリアとした。

2017年10月28日土曜日

Google Homeでスケジュールを読み上げる方法

Google Home Miniを購入しました。

標準の設定では「OK,Google,きょうの予定をおしえて」や「OK,Google,今日はどんな日?」でスケジュールを読み上げてくれます。

ところが、「カレンダーに関連するものは見つかりませんでした」や「すみません、お役に立てそうにありません」と回答されることがあります。2017年10月に日本でも発売されたばかり。

(1)理由はわかりませんが「今日の予定を教えて」で反応しないことがありました。「きょうのスケジュールを教えて」といえば、確実に反応しました。

(2)Google Homeで検索されるカレンダーは、Googleカレンダーの「メインカレンダー」のみのようです。Google Homeに登録しているアカウントのメインカレンダーに予定を追加してみてください。

(3)Google Homeが読み上げるカレンダーは、開始時刻が決まっているものだけのようです。終日のカレンダーは読み上げてくれませんでした。

この点に気をつけると読み上げてくれるようになりました。なかなか便利です。


ちなみに、「Google Homeに比べてGoogle Home miniは音質が悪い」という評判があります。たしかに音楽を聴くには、Google Home miniは低音が弱め。音楽スピーカーとしてではGoogle Homeのほうが良いと思いますが、ラジオを聞いたり、ニュースを聞いたりという使い方をする分にはまったく気にならない音質だと思います。


2016年5月3日火曜日

Ubuntu 14.04LTSから16.04LTSにアップデートする手順

Ubuntu 16.04LTS が2016/4/22(日本時間)にリリースされましたね。

UbuntuのLTS (Long Term Support)版は5年間のセキュリティアップデートなどのサポートが付いているので、 急いで次版にアップデートする必要も無いでしょうが、 せっかくなので最新版への更新手順をメモします。デスクトップ版であればGUIからも更新できますが、コマンドを前提の手順を示します。

普段のアップデート手順

下記コマンドで普段のアップデートは実施しているかと思います。

$ sudo apt-get update
$ sudo apt-get upgrade

下準備

バックアップなど必要に応じて作業しておいてください。

do-release-upgradeコマンドがない場合はパッケージを追加してください。

$ sudo apt-get install update-manager-core

手順1

まずアップデート前のバージョンを確認しておきます。

$ lsb_release -d
Description:    Ubuntu 14.04.4 LTS

Ubuntu 14.04LTS版のログイン画面でのバージョン表示 デスクトップ版であれば、ログイン時にバージョンも表示されています。

コマンドからも確認は可能です。

手順2

リリースチャネルを確認

$ cat /etc/update-manager/release-upgrades

Prompt=lts」になっていれば、LTS版のみが更新対象となります。

手順3

$ sudo do-release-upgrade

2016/5/3時点では、 実行しても新しいリリースがないと表示されるかと思います。

新しい Ubuntu のリリースをチェックしています
新しくリリースされたものはありません

これは「http://changelogs.ubuntu.com/meta-release-lts」にまだ16.04LTSが記載されていないから、だと思います。

またSSHからコマンドを実行した場合にも警告メッセージが表示されることがあります。万が一に備えてリモートではなく直接マシンにログインしたほうが良いです。

手順4

手順3でダメな場合は、「-d」オプションを付けて開発版も対象にしてしまいます。

$ sudo do-release-upgrade  -d

手順5

アップグレードの確認メッセージが表示されます。

アップグレードを開始しますか?
XX 個のパッケージが削除されます。XXX個の新規パッケージがインストールされます。XXXX個のパッケージがアップグレードされます。
合計 978 M をダウンロードする必要があります。このダウンロードは約 3 分かかります。
アップグレードをインストールするのに数時間かかることがあります。ダウンロードが完了してしまうと、処理はキャンセルできません。

yを押して続行します。

ダウンロードと展開が始まります。それなりに時間がかかりますので、そのまま正座で待機します。

手順6

パッケージの削除するかどうかを質問されます。削除する場合はyを入力して続行します。

古いソフトウェアを検索しています
パッケージリストを読み込んでいます... 完了  
依存関係ツリーを作成しています           
状態情報を読み取っています... 完了      
データ構造を構築しています... 完了      
データ構造を構築しています... 完了      

サポートが中止された(あるいはリポジトリに存在しない)パッケージを削除しますか? 


258 個のパッケージが削除されます。 

パッケージの削除に数時間かかることがあります。 

 続行する[yN]  詳細 [d]

手順7

再起動の確認メッセージが表示されます。 再起動する場合はyを入力して再起動します。

手順8

起動が完了すると、ログイン画面に「16.04LTS」の表示が確認できます。 コマンドを実行してバージョンを確認します。

$ lsb_release -d
Description: Ubuntu 16.04 LTS
$ 

コマンドからのバージョン確認例

デスクトップ版でのログイン時のバージョン表示(16.04LTS)。

これでアップグレードは終わりです。お疲れ様でした。

2016年1月5日火曜日

Mac OSX (El Captian)でbrew updateが動かなかった時に確認すべき対処法

年末の休暇を使ってやっとMacのOS更新をやったのですが、 Mac OS XをEl Captianにアップデートしてから、brew updateがうまく動きませんでした。 下記対処でbrew updateできたのでメモ。

ステップ1:PATHを確認。

しょっぱなからつまずき。なんでコマンドが無いんだよ〜


% brew update
zsh: command not found: brew
% echo $PATH
/usr/bin:/bin:/usr/sbin:/sbin

brewコマンドへのPATHが通っていないみたいですね。私の場合は「/usr/local/bin」がなかったので、一時的に追加して様子を見ます。


% PATH=/usr/local/bin:${PATH}
% export PATH
% echo $PATH
/usr/local/bin:/usr/bin:/bin:/usr/sbin:/sbin
% which brew
/usr/local/bin/brew
% brew --help
Example usage:
....省略....

うん、動いておる。

毎回PATHを設定するわけにも行かないので、次回以降のためにPATHの設定をしてしまいましょう。
~/.zshenvをエディタで開いて、
PATH=/usr/local/bin:${PATH}
または
path=(/usr/local/bin(N-/) $path)
とします。
この「(N-/)」の意味はつぎのサイトを参照。ディレクトリパスが存在しない時に空白に置換することで、無視させるテクニックです。複数のPCで.zshenvを共有する場合に便利なので、何も考えずにとにかくつけまくっておけば良いと思う。
(参考)http://qiita.com/mollifier/items/42ae46ff4140251290a7.

ステップ2:パーミッションを確認

ようやくbrewコマンドが実行できるのでためしてみると、エラーが出ますね。


% brew update
error: unable to unlink old '.gitignore' (Permission denied)
error: unable to create file .travis.yml (Permission denied)
error: unable to unlink old '.yardopts' (Permission denied)
error: unable to unlink old 'CODEOFCONDUCT.md' (Permission denied)
error: unable to unlink old 'CONTRIBUTING.md' (Permission denied)
error: unable to unlink old 'LICENSE.txt' (Permission denied)
error: unable to unlink old 'README.md' (Permission denied)
error: unable to unlink old 'SUPPORTERS.md' (Permission denied)
Checking out files: 100% (3823/3823), done.
Error: Failure while executing: git pull -q origin refs/heads/master:refs/remotes/origin/master

% brew update
Error: The /usr/local directory is not writable.
Even if this directory was writable when you installed Homebrew, other
software may change permissions on this directory. Some versions of the
"InstantOn" component of Airfoil or running Cocktail cleanup/optimizations
are known to do this.

You should probably change the ownership and permissions of /usr/local
back to your user account.
  sudo chown -R $(whoami):admin /usr/local

パーミッションがrootになっているのが原因のようです。brewコマンドのエラーメッセージ通り、chownコマンドを実行してやります。


% sudo chown -R $(whoami):admin /usr/local
Password:
% ls -ld /usr/local

うん、パーミッション変わりました。

ステップ3:アップデート実行!


% brew doctor
% brew update
% brew upgrade

brew upgradeコマンドでは途中でmake bootstrapが走るため数十分くらいかかりましたが、無事成功です!

最後に

それにしてもbrewコマンドのエラーメッセージは優秀ですね。エラーとなる要因(機械的)を示すだけでなく、オペレータ(作業者)が読める形でのエラー説明があり、次に取るべきアクション・解決策をも提示してくれています。こんなエラーメッセージを設計できるなんて、すごいエンジニアだと思います。

2016年1月4日月曜日

尊敬できる人って、具体的にどんな人なの?

「尊敬できる人が好きです」

合コンに行くと、こんなことを言う女の子がいる。

でも、尊敬できる人ってなんだろう。でかい仕事をしていれば尊敬できる人なのだろうか?英語が喋れたら尊敬できる人なのだろうか?料理が上手なら?大金を動かしていたら?部下が多ければ?給料が高ければ?……。

そんなことを考えていた。


年末に読んだ本に松下幸之助の言葉が載っていた。
こんなエピソードだった。
#有名なエピソードだそうで、検索すれば原文や原典が詳しく出てくるかと思う。

❝ まだ松下電器が創業間もない頃、電球工場で、電球を磨くだけの仕事がありました。 従業員もつまらなそうに磨いていると、松下幸之助が声をかけてきます。 正直に「つまらないです。誰でもできる仕事です」と応えると、こう諭しました。

この電球はどこで光っているか知っているか? 君が電球を磨くことで、街頭に明かりがつく。駅から家に安心して帰れる。子供が本を読むことができる。 あなたは電球を磨いてるのではなくて、人の夢を磨いているんだ ❞


やっと気が付いた。

百億円のプロジェクトを回しているから尊敬できる?お茶を淹れるだけの仕事だから……?
そんなことじゃあない。そんな目先のことで、尊敬できるかどうかなんて決まりっこない。

尊敬できる人っていうのは目先のことだけを見るのではなくて、自分のことだけを考えるのではなくて。 その先にいる人のこと、誰かのために出来ることを考えているのだろうと。


あけましておめでとうございます。
そんな、尊敬できる人になるため、本年も邁進して参りますので、よろしくお願いします。

2015年5月27日水曜日

組込み系こそJenkinsでちょっと便利なビルド環境をつくろう

JenkinsってWeb系のひとだけが使って便利なやつだろー?組込みだから関係ないもんねー?なんて思っていませんか。

そんなことはありません。組込みだって活用は可能なんです。だって組込みは、

  • クロスコンパイルが当たり前
  • 開発環境(有料)のライセンスの都合で、ビルドPCをみんなで使いまわしている
    ……負荷状況に応じてビルドするマシンを選択してくれたらいいのに!
  • 開発環境の都合で、OSごとにビルドマシンを用意している
    ……マシンが多くて管理が面倒くさい!
  • 開発環境に新しくアプリをインストールするのは嫌だ

なんてこと、ありますよね。Jenkinsならこれを楽に解決できちゃうるんです。

Jenkinsの特徴

ざっくり言ってしまうと、Jenkinsはちょっと賢いcrontabです。 ちょっと賢い部分というのは、

  • 処理を開始するトリガに指定した時刻、周期が設定できる
    (…cronに似た書式で設定可能)
  • 処理を開始するトリガにgitやsubversionが更新されたタイミングを簡単に設定できる
    (…git hookスクリプトを使用)
  • 手動でブラウザのUIから処理を開始することができる
  • Master-Slave構成が容易に構築できて、分散ビルドもできちゃう
    (…Slaveにはインストール不要!)
  • ビルドマシンがWindowsでも大丈夫
    (…Javaが動けばOK)
  • 複数のマシンのうち、特定のマシンでビルドする設定も簡単(…※1)
  • ビルド結果をブラウザで簡単に確認できる
  • ビルドした成果物をブラウザで取得できる
  • Slaveノード(ビルドマシン)にgitやsubversionがインストールされていなくても、git/subversionの連携が可能!
    (…Jenkinsのプラグインを使えば)

というところです。

※1:Slaveノードに「ラベル」を設定でき、処理(ジョブ)を動作させるノードをラベルで指定可能です。 ラベルを使うことでWindowsでなくLinuxで処理をするとか、 特定のマシンを指定して処理をさせることも可能になります。

組込み用ビルドマシンをJenkinsで活用する

Jenkinsは、Master-Slave構成を取ることが出来ます。 MasterノードにはJenkinsをインストールする必要がありますが、Slaveノードにはインストールの必要がありません。 Slaveノードとして動作させるには、

  • MasterノードからSlaveノードにSSHで接続ができる(NAT環境は不可)
  • SlaveノードでJavaアプリケーション(Java Web Start)が実行できる。(NAT環境もOK)

のどちらかの条件さえ満たしていればよいのです。 Windowsマシンの場合は、Java Web Startを使えばOKです。特に設定は不必要で(※)Jenkinsのブラウザの設定画面から、「jlnp」とかかれたリンクをクリックするだけで起動できます。

(※:環境によってはNATのポート開放や、Firewall設定は必要です)

Jenkinsを使うのに必要なことって?

先に書いたように、「Jenkinsはちょっと賢いcrontab」です。 そのため、ビルドしたり、自動テストしたり、組込み基板に焼きこんだり、したいというならば、それを実行するコマンド/バッチファイルを作成する必要があります。 逆に言えば、コマンドを叩いてできることなら、なんでも連携できちゃいます。

まとめ

というわけで、組込み系でもJenkinsは活用可能です。どんどん活用しましょうよ!!お願いします、、、

インストール方法は他のサイトにお任せいたします…